川口雅幸
1971年、岩手県生まれ。 2004年、パソコンで文章を書く楽しさに目覚め、ホームページを開設。同年、サイト上にて『虹色ほたる~永遠の夏休み~』連載開始。大きな反響を呼び、2007年に同作でアルファポリスから出版デビュー。2012年には映画公開も決定する大ヒットとなる。
作家からひと言
読者の皆さん、まずはここまで読み進めてくださって、ありがとうございます! そして、お疲れ様でした。

さて、いきなりですが質問です。感覚的に今、あなたの気持ちはどっちですか? 「もう半分も読んじゃったのか!」でしょうか、それとも「まだ半分しか読んでないのかよー」でしょうか? 「もう」の人は素晴らしいですね。きっと、あなたは読書が好きな人なのでしょう。そのまま物語の旅を存分に楽しんでもらえたら嬉しいです。では「まだ」の人はどうでしょう。あなたはどちらかと言うと読書が苦手な人、かもしれませんね。もしかしたら、こんなに長いお話を読むこと自体が初めて、という人なのかもしれません。

実際、結構なページ数ですよね。下手したらこの上巻だけで、まるまる国語の教科書一冊分くらいのボリュームがあるんじゃないかな。

なるほど。だとしたら確かに長い。そりゃ読むのが大変ってもんです。分かりますよ。すごくよく分かります……って。

自分で長い物語を書いておきながら言うのもおかしな話ですが、私には分かるんです。そう、「まだ」の人の気持ちが。なぜなら私自身も読書が苦手だから。別に本が嫌いというわけではないのですが、子供の頃から読むスピードも遅いし、途中で飽きちゃうし、とにかく苦手なのです。だからずっと積極的に読書してこなかった。だったら、そんな人間がどうして小説なんかを書くようになったのか――

実は自分でも、なぜこうなったのかよく分からないのです。ただ、ある日ある時、無性に文章が書きたくなって、思いつくままパソコンに物語を書き始めたのが最初でした。それだけでも十分不思議なのですが、その物語を書いている時に、ちょっと奇妙な体験をし……おっと、つい喋りすぎてしまいましたね。つづきはまた後ほど。さあ! 再び「時の鍵」を手に入れた聖時。後半は一体どんな展開になるのか。下巻もどうぞお楽しみに!
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