mazecco
奈良県出身。2022年、「捨てられた双子のセカンドライフ」で出版デビュー。甘いものを食べながら空想の世界に浸るのが好き。運動をすると三秒で足を挫く。
作家からひと言
読者のみなさま、はじめまして。『初恋×星空シンバル』作者のmazeccoです。この場を借りて、ちょっとだけお話しさせてください。
わたしは時々、頭の中で子どもの頃にタイムスリップすることがあります。
楽しかったときに戻って、もう一度同じ体験をしたり。失敗したときに戻って、過去を変えてみたり。そんなことを想像するたびに、「あの頃に戻りたいなあ」なんてことを思うのです。
でも、記憶のところどころに、「あの頃にはもう戻りたくない」と思うことがあります。
それは、もう一度繰り返すにはしんどすぎるくらい頑張ったときです。
二度経験するのはこたえるけれど、あのしんどさを乗り越えたあとの達成感や喜びは、自分のもののままにしておきたい。
ううん、どうしよう。困ったなあ、と考えあぐねて、結局はやっぱり過去に戻らなくてもいいや、って思い、やっとタイムスリップの想像がひと段落します。
『初恋×星空シンバル』は、中学に入学して、吹奏楽部に入部した冴えない女の子、海茅の物語――きっと未来の海茅が、「あの頃にはもう戻りたくない」と思うくらいいっぱい頑張った、二度も経験するにはもったいないひと夏のお話です。
はじめて吹奏楽コンクールに出場することになった。はじめて好きな人ができた。はじめて自ら小説を読んでみた――
海茅は中学生になって、いろんなはじめてを経験します。うじうじ悩むこともあれば、ちょっとしたことで大喜びすることもあるし、挫けそうになることもあれば、思い切って前に突き進むこともあって、海茅の心は常に、トランポリンの上を飛んでいるときのようにせわしない。
でも実は、トランポリンの上を飛んでいるのは海茅だけではありません。人気者の匡史も、フルートの才能がある明日香も、みんなに見えないところでこっそりうじうじ悩んでいるし、ときにドキドキして頬を赤らめているんです。
もしこの物語の中で、「分かる……!」と共感できるキャラクターがいたならば、よければその子のことを、めいっぱい応援してあげてください。
そして気が向いたときに、海茅たちの話し相手になってあげてください。海茅はあなたの、楽しい話も、悩みごとの話も、たくさん聞かせてほしいと思っています。
書籍一覧