蜂賀三月
作家からひと言
初めまして! 蜂賀三月と申します。
このたびは『鮫嶋くんの甘い水槽』を手に取っていただき、ありがとうございます。
愛奈と恭介を取り巻く恋物語、楽しんでいただけたでしょうか。

本作は「初恋」をテーマに書かせていただきました。
〝初恋〟という言葉だけを見ると、なんだかとてもキレイで、純粋な感じがしますよね。もちろん、恋は楽しいですし、心をウキウキとさせる素敵なものです。
だけど実際に恋をすると、嬉しいことばかりではありません。
作中の愛奈や恭介のように、苦しくなったり、不安になったりするでしょう。
こういうのは実際に経験しないと案外わからないものだったりします……
そして、それは人との関係もそうだと私は考えているんです。
実際にその人と話したり、関わってみないとわからないことがたくさんあります。
 
本作のサブテーマは「外見と内面」です。
怖そうで不良だと思っていた鮫嶋恭介。
美人で性格が悪いと思っていた兎沢桃。
イケメンで軽そうな先輩の鈴本玲央。
物語が進むにつれ、それぞれのイメージが変わっていったのではないでしょうか?
それは、この人物たちの内面に触れていったからです。
視点を変えれば、主人公の愛奈も同じような存在になっています。
愛奈は自分自身を平凡で、普通の女の子だと思っています。
だけど他人から見たら実はすごいことをしていたり、ふとした行動で誰かを救っていたりします。
きっと今これを読んでいる読者の皆様にも、自分では気づいていないすごいところがあると思います。
本作が、自分自身を含む「人」を好きになるきっかけになったら嬉しいです。
 
それから『鮫嶋くんの甘い水槽』を語るうえではずせないのが生きものですよね!
私自身生きものが大好きで、猫と一緒に暮らしています。
作中に登場しているブラックゴーストも飼っていました。横になって寝ていたり、エサを体から出す電気で感知していたりするんです。不思議で、とっても可愛いお魚です。
今まで出会った生きものたちとの思い出が、この物語を彩ってくれました。
 
最後になりますが、素敵なイラストを描いてくださったみすみ先生、一緒に作品を形にしてくださいましたアルファポリスの担当編集様、この作品に関わっていただいたすべての関係者の皆様、そして、生きものたちに深く感謝を申し上げます。

この作品を読んでいただいて、本当にありがとうございました!
また物語を通して、皆様にお会いできることを楽しみにしています。

蜂賀三月
書籍一覧